2012年1月小松ひとみさんのセミナー

 2012年1月29日の総会前に行われた小松ひとみプロのスライド&トークセミナーのレポートです。今年のレポートも掲載予定ですので少しお待ちください。

「小松ひとみ スライド&トークセミナー」


自然からのおくりもの 

 

 写真誌「風景写真」や「河北写真展」の審査員としてもおなじみの、小松さんをお迎えしてセミナーを開催しました。エピソードをまじえながらの1時間半のセミナーで、心に残った要点を記します。

写真家への道 

 社会人バスケットチームユニチカで活躍された後、故郷角館に戻られた。地元の写真家千葉克介のもとで仕事をすることになり、当初は機材などのサポートが主だったそうです。3年ほど経た頃、被写体に感動して自分でも写してみたくなる。師匠より、50 mmレンズとニコンをいただき、とにかく毎日夢中でシャッターを押してきた。先生のもとで17年、独立して11年、一期一会の被写体に自分の思いを寄せてきた。

風景写真へのいざない

自分のイメージを持って、レンズの目でちゃんとみよう。前景、中景、背景など、画面のすみずみまで見えるように体が覚えてくれる。日頃から自然の変化、生活とのかかわり、人の心に思いをはせていれば、それなりに構図も見えてくる。自分が被写体に接するとき、感じたことをメモにしておこう。タイトルにも結び付いていくだろう。歳時記、二十四節気、七十二候など、微妙な季節の移ろいへの感覚を大切にしたい。

さくら・桜

 全国各地のみごとな桜の写真。その土地の特徴、空模様はもとより、守ってきた人々との対話までもが聞こえて来るような作品群は、「ひとみの桜」とでも呼びたいほどである。主宰されている角館のギャラリー「ぷかぷ館」そばの桜の道も印象的。なんと自分自身の不安感を浅い絞りに入れ込んでいるとのこと。イメージを持って被写体へ思いを寄せていると、それに答えてくれる瞬間が来るようである。

みちのくの風景

 桜と新緑が一緒に会えるのはみちのくの宝物、他の樹木にも気をつけて、自分なりの風景を求めよう。自分が見る気になれば、身近にいろいろあることが分ってくる。白神のブナの森は年によって雪の具合、芽吹きの様子もちがう。ブナの峰走りというように、新緑は里から山へ、紅葉は山から里へ進んでくる。森はそれぞれ違った表情を持っている。植物の種類や水との関わりなどに疑問を持つと、新しい目が開けてくる。身近な風景、地元だからこそ見えてくるものもある。広めの景色、動きのある展開、横位置、縦位置など、自分で探していろいろ写してデータをとろう。何よりも素直な心で、体で感じながら被写体と向き合いたい。

撮影への備え

 白神のイメージを求めて6日間粘って、白い雲がかかった山並みを写した。樹氷の森吉山では長期間ねばり、遭難しかかった。また厳冬の八幡平で凍傷にやられたこともある。それほど苦闘しつつ得られた樹氷など眼を見張るもの。プロとしての凄さ、厳しさを感じる。

各地の桜の撮影には、前もってロケハンを行い、被写体のみならず、地元の様子、関係者の了解、滞在するときの備えを確認する。未知の土地、特に雪山などではガイドを頼み、事前に十分準備し、いかなる事態にも対応できるように万全を期さなければならない。

被写体への思いに駆られて撮らせてもらうと、その思いが作品に乗り移ってくれるような印象を受けた。

(秋葉健一 記)

 

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