撮影会・イベントレポート

◆前川彰一先生のスライド&トークセミナーが開催されました。

テーマ「風景写真の撮り方・追い詰め方」

 

日時:令和7年2月8日 16:40~18:30

場所:日立システムズホール仙台 3階 エッグホール

講師:プロ写真家 前川 彰一 先生

 

  プロの有名風景写真家をお招きし開催する恒例の東風協セミナーは、今年も多数の会員参加者に加え、会員外の一般写真愛好家も参加して開催されました。

 前川先生は当日に某有名写真雑誌の表彰式という重要な予定が入ったにもかかわらず、先約である当セミナーを優先して駆けつけて下さいました。また、当日は今シーズン最強の寒波が日本列島を襲う中、新幹線の大幅遅延というハプニングに見舞われ、多少の開始時間のズレはあったものの、お約束の時間たっぷりに講義下さいました。時折ユーモアを交えながら聴衆を惹きつけ、あっと言う間の2時間でした。

         参加者を前に講義される前川先生

 セミナー前半は「気合の入った写真を選んできました」という美しく印象に残る作品の数々を、春夏秋冬ごとに区切り、それぞれの撮影状況・撮影のポイント・苦労の裏話を話されました。この前半を通じて印象に残ったのは、納得いく被写体を作品として切り取るまでに何日でも、あるいは何年にもわたり通いつめモノにするという、被写体に対する向き合い方でした。

 例えば、一面のドクダミの花が咲く上を飛び交うゲンジボタルの写真は「カメラをセットし、あぁ蛍が来たなと思ったらチャッチャとシャッターを切れば誰にでも撮れる写真。ただ、簡単に撮れる写真だから良い作品にするには時間がかかる。今日持ってきた写真は限られた時期を3年間通って撮った一枚の写真です」と語っておられました。作品に対するこだわりを粘りと写真家としての自負でモノにした一枚なんだと感じ入りました。

 後半は「写真の追い詰め方」の講義でした。「追い詰め方」とは前川先生独自のやり方であり、「飾って飽きない美しい写真」から「全国に向かってチャレンジできる作品作り」の意のようで、心惹かれた被写体に出会ったときに「作品」へと作り上げるためのアプローチ法と理解しました。

 例えば普段は水の流れていないツツジが咲く岩場に、増量した水が流れ込み、「清冽な早瀬の中に咲くツツジ」という稀な風景に出会ったチャンスを、それを作品的にどう捉えたか、という実例を4枚の写真で示されました。記録写真的な最初の1枚から、撮る方向を変えたが説明的な写真、アップで撮ってみたが肝心の流れの表現がいまいちな写真、最後は一部分を切り取り流れも表現し、さらに谷の背景も入れて奥行きを出し構図を整え作品としての写真に仕上げたもの(写真は「総会開催ご案内」のページをご覧ください。ただし写真の順番は左上→右上→右下→左下の順です)。

 「要はこの被写体が面白いなと思ったらグルグル回ってみる。そして良いなと思ったら撮る。これで「撮れた!」と思って帰っちゃう人が殆どだけどそれじゃダメなの。さらに回って色々撮ってみる。今はデジタルなんだから枚数をケチらない。普段自分はこういうやり方の写真は撮らないなというのがあったら、なおさら撮ってみる。そうすると思いの外、自分なりの角度を見つけることができる」・・・被写体に入り込んでいくこのような姿勢は本当に肝に銘じたいと思います。

 最後に宮城県の風景写真家についてこんな感想を述べられていました。「色々なコンテストの審査員をやっているが宮城の人は熱心にやっておられるのになぜか挑戦者が少ない。写真には「撮りに行くというワクワク感の楽しみ」、そして「実際に撮る楽しみ」「プリントして作品に仕上げる楽しみ」がある。さらに「応募してみる」という楽しみも加わるのですよ。これだけの皆さんがやっておられるのだからもっと挑戦して良いと思います」。

 ダジャレ連発の愉快な講義でしたが、前川先生が時々こぼした感想が「皆さん大人しいなぁ、反応がないな」ということ。宮城県民のこの控え目な美徳(?)が挑戦にも影響しているのかもしれないな、と思った次第。前川先生の言葉を受けて皆さんコンテストにもっとチャレンジしてみませんか?自信をもって送り出した作品が元気に戻って来ても(笑)、いつか白い封筒が届くことを信じて。

           作品を示しながらの講義風景

 

 

       参加者の熱心な質問にも丁寧にお答えいただきました。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

◆福田健太郎先生のスライド&トークセミナーが開催されました。

テーマ「美しい日本の風景を巡る旅・写す楽しみ」

 

日時:令和6年1月20日 14:45~16:30

場所:日立システムズホール仙台 3階 エッグホール

講師:プロ写真家 福田 健太郎 先生

 

  恒例の東風協セミナーは今年も東風協会員以外の方々の受講も受け入れ会場満席で開催されました。

 福田先生は明るく気さくな笑顔で登壇し、「本日のセミナーのために100枚ほどの写真を用意してきました。時間が足りるかな…」と冒頭におっしゃられた通り、「潤沢」と言えるほど多数の素晴らしい作品についてコメントを付しながら紹介され、とても贅沢な時間を参加会員に与えてくれました。

作品を示しながら解説する福田先生(マスクの方です)

【以降は編集者の個人的感想が入っています】

 講演では先生のプロフィールの紹介に始まり、ご自身が追い求めているもの、それを被写体と対峙したしたときにどう表現しているかなどを、具体的な作品をプロジェクターで映し出しながら解説いただき、私たちアマチュアが撮影に臨んで何を大切にするべきかなどレクチャーいただきました。

 詳しい内容は3月発行の会報にて報告されると思いますが、強く印象に残った言葉は最初に述べられた「基礎を深く理解すること」。写真撮影は基礎の繰り返し、そこから応用・発展へと広げていくんだ、という言葉は「いいね」を狙ってやたらカメラの新機能に頼ったり、覚えたての珍しいテクニックに走りがちな自身の姿勢を省みる機会となりました。「撮影時に選択する基本の11」は確かに知ってはいる知識ですが、改めて整理・意識して撮影に臨んだことはなく、きちんと頭の中に置いておきたいと思うテーマでした。

 講演後は質疑応答の時間が設けられ、会員の撮影活動の悩みや撮影行の臨み方などが受講生から質問が相次いで出され、先生の真摯かつ丁寧なアドバイスを受けることができました。

 それにしても見させていただいた作品の数々はどれも素晴らしく生命を慈しむ先生の気持ちが溢れるものでした。一方、貴重な風景・動物との出会いの瞬間は、ご自身は「私はもっているんです」と仰られましたが、「(同じ場所で)こんな時(早朝)から撮っています、まだ撮っています(日中)、こんな時まで撮っています(夕暮れ・夜中)」という時間帯を意識する例として出された作品を拝見し、やはり日ごろの努力の賜物なんだなぁと納得したものです。

 セミナー後の懇親会の席でも参加者の無茶ぶり的な質問・話題にも笑顔を欠かさず丁寧に応じていただき、先生の人柄を実感した充実した楽しいひと時でした。

  

受講者との質疑応答風景

セミナー修了後先生と一緒に! 写真は3月の季報に同封します。

懇親会で先生を囲んで”乾杯”

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 ↑クリックしてください

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 ↑クリックしてください

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

◆米美知子先生のスライド&トークセミナーが開催されました。

テーマ「美しい日本の情景を探して」

 

日時:令和5年1月29日 14:45~16:30

場所:日立システムズホール仙台 3階 エッグホール

講師:プロ写真家 米 美知子 先生

 

  当セミナーは東風協会員以外の方々の受講も受け入れ会場のエッグホールは満員となり、追加の椅子も搬入し開催されました。

 米先生がお馴染みの明るい笑顔で登壇し、自己紹介を兼ねた最初のご挨拶ではご自身のルーツ(ご両親)が宮城県出身であることが明かされると会場の受講生のハートはギュッとわしづかみにされ、どよめきが起きました。 

 講演は先生の作品をプロジェクターで映し出しながら、風景写真の撮影にあたって被写体とどう対峙し、何に気を付けながらどう撮るかといったことをテーマに、構図・絞り・シャッタースピード・ISO等多岐にわたり風景写真に欠かせない知識をレクチャーいただきました。また、PLフィルターやハーフNDフィルターの使い方、ハレ切りのための傘の用い方など実践的なお話を伺いました。さらには新型コロナ禍で県跨ぎ移動が限られるという状況の中、近所の公園などを巡る「お散歩写真」での作品作りのご体験などをご講演頂きました。

 詳しい内容は3月発行の会報にて報告されると思いますが、全体を通じて印象に残った言葉は「現場主義」。カメラを三脚に乗せ、構図や露出・フィルターワークなどを試行しながら、現場で写真をできるだけ完成させるということの大切さです。「現像ソフトが高性能となりRAWでチャチャっと撮ればあとでいくらでも調整ができるという人もいるが、後になってのPCでのレタッチは記憶色に頼らざるを得ず、やりすぎたり不自然となることが多い」と身に覚えのある点の指摘もあり、真摯に被写体に向き合う事の大切さを改めて認識した講演でもありました。

 講演後は質疑応答の時間が設けられ、日ごろ疑問に思っていることや苦労している点などが受講生から出され、先生のアドバイスを受けることができました。 

 米先生は近年Youtube配信にも力を入れておられ、ここでは撮影現場での考え方や撮影術を知ることができるので、このセミナーに合わせYoutubeをご覧になると、より一層理解が深まると思われます。

 米先生からは「チャンネル登録よろしくネ 」とのことでした。

「Youtubeをご覧になったことある方?」「は~い

 

 最後に米先生を中心に全員で記念写真を撮りました。

参加された会員の皆様にはこの写真を「東風季報63号」に同封しお送りします。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

2022年に開催されました椎名亮介先生の「冬景色・撮影ポイント」のレポートと2019年に行われました「信州撮影会」の模様を掲載しています。

椎名先生よるセミナーの資料から

信州撮影会の作品から

 

☆クイックアクセス☆

■常設展

 私の一枚

松田会員 秘めやかな始まり

WEBギャラリー案内
東風季報
TFPA