冬の印象をどう表現して感動を伝えるか。セミナーや撮影実習で何度もお世話になっている椎名亮介先生にお話しを伺った。色調に乏しく単調な冬景色を捉える主要なポイントをあげる。
光と影
雲の流れで光の方向が変わり、白一色の雪原でもその表情が変わる。樹木の影を捉えてダイナミックに表現する。同じような雪原でも光と影の切り取り方で、奥行きや立体感のある表現も可能になる。起伏のある場所や斜面を利用して白一色に変化つけて、リズミカルな影模様を撮る。カメラアングルを工夫して影の方向や遠近感に気を配る。
《各撮影地の冬景色》(クリック後←→で移動します)
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草木
単調な雪面や湖面では枯れ木や冬枯れの草をアクセントにして、画面を構成する。笹や葦も風によるゆらぎを入れ季節感をだす。雪を被った木の実の彩は冬の風物のモチーフになる。風情のある切り取り、絞りを開いて写してみよう
青みをつけて透明感
凍りついた湖面の透明感や寒々とした感じは青みをつけて表現する。機種にもよるが、色温度で調整できる。湖面模様はそれぞれの湖で刻々と変化する。大きな写り込みから小さな造形まで神秘的な自然現象である。
朝夕の光
茶臼岳の朝焼け、磐梯山の夕暮れ、日が落ちて反射で黄金色に輝く湖面など息をのむ美しさ。夜明け、日の出、夕日は年を通しての風景なのに、全てが雪に覆われた冬だからこその色彩の変化や美しさだ。
しぶき氷、氷柱、氷瀑
厳しいい自然条件でのみ見られる現象は、その生成も限られる。そんな貴重な場面の写真に驚く。猪苗代湖東岬の澄みきったしぶき氷が印象的。全面凍結した氷瀑に息をのむ美しさと神々しさ。雪をかき分け辿り着くのも大変。気力、体力、技術が伴っての作品だ。なじみのある春秋の風景はあるものを写すのに、雪で隠された場面では、冬場ならではの作画が重要で、インパクトのあるものになる。先ずは外に出てシャッターを切ろう。(秋葉健一記)
この記事は去る2022年1月21日に行われましたセミナーを要約したものです。「東風季報59号」に掲載し作品の一部を掲載しております。